■ 第1回 ゴロー(上杉 五郎) ・・・・・ vol.18 1997年7月 |
もう17-8年前のカリフォルニアでのおハナシ。LA在住の日本人美容師が集まってグループを創った。全米各地でデモンストレーションを展開しようという、デッカイ目的を持った血気盛んな若者達で、付けた名前が「KAMIKAZE(カミカゼ)」アメリカ人が怖がった神風特攻隊を意識した過激なネーミングなのだ。和訳はかわゆく「髪風(ヘアー業界に新しい風を送る)」とした。メンバーは80人余りでビッグネイムが沢山含まれている。 その活躍ぶりは別の機会に譲るとして、後年になって新美容出版社が初めての海外ツアーでクラスルーム(技術講習)を企画したおりに、当時ヘアー以外で日本でも流行しそうな技術を紹介しようと云うことになり、メンバーに選んでもらったら「メイクアップアーチスト」「カラーリスト」「エレクトロジスト」「マニキュアリスト」「ペティキュアリスト」「ワックス」が挙げられた。
クラスルームはそれなりの成果があったが、このセミナーが日本に於けるアメリカンネイル普及への伏線といえるだろう。その会場として使わせて戴いたのが『YUKI』のサロンで、ゴローさんはここでずーっと働いている。オーナーのユキさん(武井友之)はハリウッドではかなりの有名人でレストランなどでの扱いも違う。最近は日本の芸能人御用達で宮沢りえをエスコートしている姿が芸能ニュースを賑わしていた。サロンは、高級住宅が見下ろすハリウッドの梺、サンセット通りのブティック街、サンセット・プラザにあり、ユキさん、コージ君らヘアーのオペレーターに交じって、ペティキュアリストとして毎日朝から夕方まで本当によく働いている。その超売れっ子ぶりは、彼のブック(予約表)を見せてもらったら、なんと3ヶ月先まで勤務日は予約がビッシリいっぱいであった。 ご本人に、ペティキュアの魅力について聞いてみた。「僕のこの手で一時間余りも、心を込めて休むことなくお客様の足をマッサージしてあげるのだから、気持ち良くないはずはない。」「毎日、体重のすべてを細い二本の足にかけているのだから、たまには足だってエンジョイさせてあげなければいけない。」「服を脱がずに風呂に入った気分になれると言われる」とのこと。「某著名人が、『招待状』を貰いなにも知らずにやって来てペティキュアを初体験して大感激、それから病みつきになった」ということもある。ゴローさんの技術は、粋なプレゼント品としても使われている。これは、ユキさんにも言えるが、ご自身がどんなに優雅なプライベート生活を過ごしていようともサロンにいる時は、少しも偉ぶることなくサービス業に徹してお客様をエンジョイさせている姿が、とても素晴らしい。日本には耳の痛い人が沢山いるハズ。
そして「僕は弟子を取りません、僕に触って貰いたくて来てくれるお客様を失望させたくないから」と言って、人なつっこいゴロー・スマイルを見せてくれた。
<1997年7月記 原文>
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