アメリカンネイルを語るとき、金子実由喜さんは外せない。私がツアーをプロデュースしていたアメリカのビューテイシヨウには、'85年頃から毎年必ず顔を出していました。ご一緒したことも10数回になるでしょう。
特に、毎年1月第四週に開催されている西海岸の「ロングビーチ」のBEAUTY-EXPOには、コーディネイトを手伝ってもらったこともあります。50年以上続いた地元ロンクビーチ・ビューテイ・ギルドのオーナー達が、全員ブラックタイでお出迎えしていた、古き良き時代が思い出されて懐かしい、そのロングビーチショウは、前々回からIBSの主催になり、来年は、ICE(2/10〜12:L.A.ダウンタウン)に押されて開催すら危ぶまれています。
それはさておき、実由喜の一番ホットな情報を取材してから、コラムの筆を取ろうとあえて締切り間際迄書くのを待っていたら、「国際フォーラム」の前日になって「交通事故に合った」との知らせ。しょうがないので、今回は取材なしで、知ってる範囲のことでまとめてみました。
美容界の名門「シバヤマ」芝山みよか先生の門下生で、ネイルはもとより、ヘアー・メイク・エステティックと幅広く総合美容の基礎学を学んでおり、注目され始めた「ビユーテイ・セラピスト」のはしりといえるでしょう。ネイルに力を入れ始めたのは、85年頃からで、カラーミストを日本に広めた岡村瑤子さんの片腕として、ネイル第二次ブームの担い手として、従来のマニキュアにない、都会的に洗練されたネイルアートの華麗さ、楽しさをメディアを通して一般に広めてくれました。
ロングビーチにおいては、コンペティシヨン・ネイル部門のオフィシャルジャッジに任命され、同コンペにおける日本人審査委員の先駆者としての役割を果たしてくれました。
|
<ラジオでの収録> |
|
|
協会コンペの初期においては、多くの人材を輩出し盛り上げてくれましたが、不運にもチャンプには一歩届かぬ場面が多くあり、徐々にトレーナーからパーソナリティとして、マスコミでの活動が増え、会う度に女性誌などの掲載誌・紙などの活躍ぶりを見せてもらっていたこともあります。技術の楽しさ、素晴らしさを伝えられる人は増えてきましたが、「ネイルを装う魅力」を自己表現できる人としては希少価値があります。今では、当たり前のマスコミ・ジャーナルの「ネイル」取材なども、そのきっかけを創ってくれたのは、岡村瑤子−金子実由喜ラインの努力の結晶といって良いでしょう。その功績は高く評価しています。
もうずいぶん前になりますが、物議を醸しだした「ネイリストは美人でなくてはならない」発言は、未だに取り消すつもりはありませんが、やはり、古くは貴族社会におけるステータスとして、国際社会における文化のバロメーターとしての役割を果たした「ネイルの手入れ」を大人の社会に普及させるためには、それなりの雰囲気が不可欠です。それらを持ち合わせた若いネイリスト達のアピールを期待したいものです。
最近、指先まで神経の行き届いた身振り手振りが似合うハイソサエティな方や、タレントさんもたくさんでてきました。今秋にはハイファッションとコーディネイトした本格的なエレガントネイルが台頭してくるでしょう。
先駆者としての誇りと自覚を持って、余り周りの雑音にとらわれず、体調と相談しながら信念を貫いてほしいものです。 |
<2000年7月記 原文> |
|